なんか好きなものについて、ちょっと書いてみよう

本、マンガ、映画、舞台、美術館、旅行。なんでも好きです。好きだなーと思ったものについて、書いて留めようと思います。

『セッション』デミアン・チャゼル

ラ・ラ・ランド』見てから気になっていた『セッション』を見た。
なんとなく暗い映画のイメージがあったけど、見てみたら割とその通り。
多分自分に自信がないからなんだろうけど、偉大な演奏家になることに固執して、周りのことを考えない主人公と音楽のことになると生徒の人格否定も辞さない教師の物語。

教師の鬼っぷりが目につくが、主人公もかなり性格に難のあるキャラとして描かれ、それはラストまで変わることはない。
教師と生徒の話だと、大体最後は相手に感謝するなりして終わるが、これは最後まで(というか最後こそ)二人の戦いが
描かれる。
主人公を肯定する気にも、教師を肯定する気にもなれないけど、教師のこのセリフだけは一部の真理だと思う。
There are no two words in the English language more harmful than "good job".

そして、ラストシーンの意味をもう少し考えたくてラストだけもう一度見た。
キャラバンの演奏のあと、ニーマンが手を止めず一人演奏を続けたことで、フレッチャーすら巻き込まれた。フレッチャーを超越して、彼すらも最後に従えたのだろうな。最後にニーマンを見るフレッチャーはおそらく彼の演奏を認めていたと、自分はそう思った。

『美女と野獣』ビル・コンドン

アニメ版を見たのははるか昔で何となくしか覚えていないのだけど、歌が大好きなので楽しみに見に行った。
期待通りの映像と歌で非常に楽しかったわー。
おぼろげな記憶の中で端役だったと思うキャラクター達に、しっかり肉付けされていて、話が立体的になっている。
ベルの母親に何が起きたのかを語ることで、父親モーリスのキャラクターに説得力を持たせ、ベルとモーリスの関係性も補強された。

野獣の方も生まれつき放蕩なわけではなく、母を失った悲しみと父親の教育のためにあのようになったことが説明されていて、それが召使いたちの優しさの説明にもなっている。
お城のキャラクターたちも、ルミエールやコグスワース、ポット夫人だけでなく、プリュメットやマダム・ド・ガルドローブ、カデンツァ(こいつなんてアニメじゃいなかったのでは?)なんかも、かなり登場シーンが増えて関係性が見えやすくなっている。
彼らが固まってただの道具になってしまうところは、どうせ戻るとわかっていても悲しくなったわ……。
ベルが野獣の城に初めて行くところとか、わりとテンポよく進むところは進んで、こうやってキャラクターたちの描写に時間をかけているのは好感が持てる。

(ネタバレ)

しかも、実は町の人たちとは家族や知り合いだったなんて思わなかったわ。
おとぎ話の不審なところをカッチリと埋めている。
(だけど、この話って最初に魔法をかけられてからどれくらいの期間の話なんだろう? 数日とかそこらなのか、数年くらいは経っているのか?一回ポット夫人が「長い間」って言った気がするんだけど、ラストシーン見た感じだとそんな長い期間魔法にかけられていたようでもないし、バラの花がそんなに持つわけもないし…)

※追記

ルミエールがBe our guest.で10年間って歌ってたわ。まあ妥当かな。バラの花は魔法のものだからってことで。

しかし10年間子供のままってチップが1番かわいそうだね…。

※追記終わり

 

あと、ル・フウがアニメだと単なる頭の悪い取り巻きみたいなキャラだった印象だけどちょっと変えて同性愛者らしく見せて、ガストンの女房役としての性質が強く出ていた。
ル・フウは最後他のゲイっぽい男性と踊ってたから、多分本当に同性愛者なんだろうな。
こういうキャラをしれっと出すことにディズニーは最近意欲的な気がする。
しっかし、ガストンだけが救いようがないクズだよな、この話って……。

(ネタバレここまで)

本編も好きだけど、エンディングで役者たちが順々に出てくるのが舞台のカーテンコールのようで最高に好き。

『at Home』本多孝好

歪だけど暖かな家族の話を集めた短編集。

「at Home」
犯罪者一家の話。こういう設定ありきの話は好きになれないことのほうが多いのだけど、これはサクッと読めることもあって好き。
クライマックスの急展開には、ちょっとついていけないところもあったけど、ラストは好き。もう少し明日香との関係性をちゃんと書いて欲しくはあった。

「日曜日のヤドカリ」
これが一番好きかもしれない。
妻の連れ子と父親の話。
敬語で話しながらも、きちんと関係性ができている2人のやり取りがよい。

リバイバル
無気力に搾取される中年男性とヤクザのいざこざに巻き込まれた外国人女性の話。
主人公のように、必要のない不利益を甘んじて受ける気持ち、ちょっとわかる。
よく考えればその状況を抜け出すことはできるのに、それすらも放棄したくなる無気力状態。
それはあくまで甘えでしかないことを、忘れないようにしようと思った。

「共犯者たち」
この短編集では珍しく、そしてある意味ラストにふさわしい、血の繋がった家族の話。
家族みんな、どこかが欠けていて、それは決して責められるべきほどのものではない。
そんな家族のちょっとした、でも完全ではない再生の話。

 

イディナ・メンゼル来日コンサート

ミュージカルナンバー以外の曲がわからず悲しいやら、申し訳ないやらだけど、とにかくよかった。

一番ダントツで感動したのはRENTのFinaleなどで流れるNo day but today。
MCでオリジナルキャストであるイディナの口から、ラーソンの突然の死について、そして今生きている人へのメッセージを語られた上で聞くRENTの曲は何よりも胸を揺さぶった。

次がWickedのDefying Gravity。
やっぱり名曲。
最初は別の曲(?)から始まったけど、Defying gravity につながった瞬間声が出た。
舞台の中心に立ち、これからの自由に向けて高らかに歌うイディナは最高にカッコよかった。

そして、Let it go.
日本語でサビを歌ってくれただけでなく、子供たちを舞台に上げて一緒に歌うパフォーマンスまでやってくれて、優しいねぇ。
そして、仕込みじゃないと思うんだけど、みんな英語で歌えていてすごい!
本当に何度も聞いているんだろうなー。
生で聞くLet it go.は格別でした。

あと、マイクを通さずに歌っていたFor good。
流石の声量だわ。
ウィキッドもっかい見たくなってきた。

生で見れて歌が聴けたことは一生の思い出だろうな。
他の曲も気になるので、CD借りて聞こうー。

『動物のお医者さん』佐々木倫子

Kindleで安かったので、全巻購入。

トーリー上の時間は進んでいくのだが、なんの山場もなくただただ獣医学部の学生たちの日常を描くコメディ漫画。
チョビが可愛くて、菱沼さんや漆原教授のキャラクターが愉快。
ともかく、チョビがかわいい。
そんな漫画。

『3月のライオン』大友啓史

原作の漫画が大好きなので、見に行った。
正直に言って、後編見るまでは何とも評価できないなー。
元々原作もそうだからしょうがないのだけど、家族の話と零自身の話、二階堂との話が混じり合って、最終的なポイントがよくわからなくなってる。
ラストシーン、渋すぎるでしょ。
好きだけどさ。
原作でもなんとなく中途半端になっている香子との関係に後編では決着がつくのだろうか?
予告の段階で原作にはないシーンがあったので期待はできそう。
あと、コメディパートが減ってヒューマンドラマの比重が増えたのは映画としては正しいんだろうけど、原作ファンとしてはちょっと悲しい。

川本家でのかけあいとか、学校でのほのぼの話とかがなくて…。

役者の演技は良い。
桐山くんの神木隆之介は流石。
なんの違和感もなく、あのややこしい役をやっているのはすごいと思う。
誰よりも佐々木蔵之介の島田さんが漫画のまんまで非常に良い。
ただ、原作でのせきばらいでの声かけが謎のテレパシーに変わっていたのは残念。
二階堂は原作とは少しキャラが変わっていて残念。
年相応のキャラクターとして、映画のほうが自然なのかもしれないけど原作の二階堂が好きなので個人的にはマイナスポイント。
それでも、「一編の冒険小説のようだった」のモノローグは大好きなので残っていてよかった。
高橋一生の先生もいい味出してるけど、漫画とはちょっとキャラが違うかな。
まあ、そもそも学校での生活にあまり焦点があたっていないからそれはしょうがないのかな。
地味に子供時代の香子をやっていた子役の子が演技うまかったと思うんだけど、どうだろう?

「ミュシャ展」国立新美術館

美しい女性の綺麗なポスターで有名なミュシャが晩年を捧げて描いたスラヴ叙事詩が公開されたので早速見に行く。
圧巻だった。
特に出来が良いとされる最初の3枚は見ていると、想像力を揺さぶられて鳥肌がたった。
自分が好きな絵ってのは見ていて「物語を感じる絵」なんだけど、スラヴ叙事詩は強くそれを感じた。
空中に描かれた神や王たちからだけでなく、地上の人々一人一人にドラマがあることを予感させる絵だった。
市井の人々がしっかり書き込まれ、主題となる有名な人物の他に、象徴的な市民も強調して描かれているためかな。
また、女性や子供、老人も書き込まれ、一人一人、書き分けられているのも特徴なんだろうな。
2番の「ルヤーナ島でのスヴァントヴィート祭」の踊り子が特に好き。

最初の3枚以外で好きなやつは以下。
7番の「クロムニェジーシュのヤン・ミリーチ」
苦しみを超える女性のドラマに惹かれるのかな。地上にいる2人の女性が目を引く。
12番の「ヴォドニャヌイ近郊のベトル・ヘルチツキー」
復讐に燃える男の手を受け止めるヘルチツキーの姿が印象的。
13番の「フス派の王、ポジェブラディとクンシュタートのイジー」
その時歴史が動いた」的な雰囲気が好き笑
14番「ニコラ・シュビッチ・ズリンスキーによるシゲットの対トルコ防衛」
珍しく戦闘の場面がそのまま描かれる。
ただし、兵隊だけでなく女や老人まで描かれているのが目につく。激しいたたかいを想起させる赤が印象的。
20番「スラヴ民族の賛歌」
メッセージ性を強く感じる象徴的な作品。今までの復習のように神話の時代から近世まで描かれている。

基本的に自分は「自分たちの民族アイデンティティを残すために創造的活動をする」っていう事自体が好き。他はグリム兄弟くらいしか知らないけど。
自分たちの精神を保つために芸術が持てる役割の一つだと思う。
もちろんナショナリズムポピュリズムにならないよう注意はいるのだろうけど。

後半のポスターなどは以前見たミュシャ展と同じものも多かった。
ハムレットがあったのが、小さな収穫(笑)