なんか好きなものについて、ちょっと書いてみよう

本、マンガ、映画、舞台、美術館、旅行。なんでも好きです。好きだなーと思ったものについて、書いて留めようと思います。

『at Home』本多孝好

歪だけど暖かな家族の話を集めた短編集。

「at Home」
犯罪者一家の話。こういう設定ありきの話は好きになれないことのほうが多いのだけど、これはサクッと読めることもあって好き。
クライマックスの急展開には、ちょっとついていけないところもあったけど、ラストは好き。もう少し明日香との関係性をちゃんと書いて欲しくはあった。

「日曜日のヤドカリ」
これが一番好きかもしれない。
妻の連れ子と父親の話。
敬語で話しながらも、きちんと関係性ができている2人のやり取りがよい。

リバイバル
無気力に搾取される中年男性とヤクザのいざこざに巻き込まれた外国人女性の話。
主人公のように、必要のない不利益を甘んじて受ける気持ち、ちょっとわかる。
よく考えればその状況を抜け出すことはできるのに、それすらも放棄したくなる無気力状態。
それはあくまで甘えでしかないことを、忘れないようにしようと思った。

「共犯者たち」
この短編集では珍しく、そしてある意味ラストにふさわしい、血の繋がった家族の話。
家族みんな、どこかが欠けていて、それは決して責められるべきほどのものではない。
そんな家族のちょっとした、でも完全ではない再生の話。