なんか好きなものについて、ちょっと書いてみよう

本、マンガ、映画、舞台、美術館、旅行。なんでも好きです。好きだなーと思ったものについて、書いて留めようと思います。

『聲の形』(映画)山田尚子

漫画が面白かったので,映画まで見てきた。

 

※ネタバレ注意

漫画の各シーンをうまくつなげて,石田の成長や,西宮姉妹との交流を描くことに成功しているなー。というのが印象。まとめていく中でどうしても,長束,佐原,真柴,川井,島田,西宮母といったサブキャラたちは扱いが軽くなるけど,しょうがないよね。真柴や川井の毒がちょっと軽くなってた気がする。

その分,石田,硝子,結弦,植野あたりは非常によく描かれていたし,演じられていた印象を受けた。過去とかは多少取っ払われていたけど,いい描かれ方をしていた。

キャラクターたちの描かれ方がまさにそうだと思うんだけど,原作でやや分かりにくく描かれていた部分を削ったり補完したりして多少シンプルにしようとしたのが映画版かなって気がする。

でも,橋でのシーンとか植野と西宮母の喧嘩のシーンとか大事なシーンで微妙にセリフが違ったのは,どう変わっていて何を意味しているのか,もうちょいちゃんと聞きたかったけど,初見だと違っているところに気を取られて聞き取るのが難しかったわ。

映画でぐっときた名シーンは次の3つ。

①結弦が石田のお母さんに土下座して,「俺のカントクフユキトドキです…」と謝るシーン

漫画でもある名シーンだけど,声が入っていることで余計にぐっときた。結弦本当にいい子だよな。

②植野と西宮母の喧嘩のあと,西宮が石田の母の足にすがって泣くシーン

これは原作にはなかったシーン。原作で石田のお母さんが,「(今は)何を言っていいのかわからないの」と言うシーンも好きなのだけど,これはこれで硝子の苦しみが伝わってきてよいシーンになっていた。あ、でも改めて見ると原作のほうが好きかも。どっちだろうな。硝子かお母さんかどっちに焦点をあてるかの問題の気もするけど。

③橋で石田と硝子が再開するシーン

原作では無音だったシーン。映画では声付きで,「私がいなくなればいいと思った」と泣きながら言う。実際の聴覚障害の人がどう感じるかはわからないけど,障碍者らしく,でもわかるように言う声優さんはすげーなと思った。あと,このシーンの手話は原作でもわからなかったのでうまく補完してくれてありがたい。このシーンだけでも映画見に行ったかいがあったと思う。

 

あと,小学校時代のシーンで,最初は面倒を見ていた植野が面倒くさくなってきてしまい悪口が始まっていくところは,映像のほうがわかりやすいなと思う。

一方でそのいじめの陰惨さというか,痛々しさは漫画のほうがきつかった。特に映画では石田が被ったいじめが軽めに描かれていたなという印象。その分,補聴器のお金を払いにいくリアルなところはじっくり描かれていて,監督なりの軽重のつけ方が興味深かった。

もう一度見て,じっくり原作との違いについて考えたいけど,たぶんお金払って二回目は見に行かないだろうなー。