『スター・ウォーズ ローグ・ワン』ギャレス・エドワーズ
様々な思惑が巡る序盤から、多数の人が命を賭して希望を繋ごうとする終盤まで終始最高に面白かった。興奮の震えが収まらない。
俺の大好きなチームものなんですよね、これ。
大量破壊兵器の設計者の娘、反乱軍の幹部、改造された帝国のドロイド、帝国を裏切ったパイロット、そして、立ち寄った星でたまたま助けられた戦士2人。
設計者の娘ジンは父親を探して自由を手に入れるのが目的、というか反乱軍に保護されるまでは目的などなくただ生きていればよいという思想だった。
対して反乱軍の幹部キャシアンはジンと同行して父親を探すのかと思わせておいて、実際は設計者である彼を暗殺するのが目的。
(この辺りの反乱軍の暗部が描かれているのがローグ・ワンの大きな特徴。)
そんなペアだから中盤までは信頼しあうような間柄にはならない。
他のメンバーもなんだか統一感のない、寄せ集め感が強い連中。
でも、当たり前だけど最後には一つの目的のために団結するんだよね。しかも、周囲も大きく巻き込んで。そのカタルシスが本当にヤバい。
(こっから激しくネタバレ)
そして、彼らは1人残らずこの戦いで命を落とす。その死に様がまたかっこいいんだわ、全員。
どこか情けなかったパイロットの最後とか、めちゃくちゃ強かった守護者たちの最後とか……。
そしてメインの2人の最後は言うまでもなく。
「新たなる希望」に繋ぐための死に様の美しさに心底感動しました。
アクションも満載で、ジェダイがいない分あくまで弱者でありながらチアルートもベイズも戦い方にキャラがたっていてくそかっこいい。
これゲームになったらめっちゃ楽しいんだろうな。
でも、戦争ものと思ってみると玉砕覚悟の彼らの戦いが切ないし怖い…。
暗い部分もありつつ、最高にかっこいい戦いが見れる非常によい映画でした。
『海月と私』麻生みこと
もう、ただただヒロインの魅力だけで4巻読ませる漫画。
突然いいタイミングで仲居さんとして働き始めた謎の美女の手の上で、旅館の旦那さんが転がされる話。そして、間違いなく旦那さんだけじゃなくて読者の男どもも転がす気マンマンで書かれています。
腹立つ。まんまと転がされた(笑)
いや、作中でちょっとパロッてたけど、「金麦冷やして〜〜」ばりのあざとさですよ。
旦那さんがいい年のおっさんなんだけど、料理上手でかっこいいのにちょっと情けない感じなのもいいですね。
短くてすんなり読めるので軽く楽しむにはちょうどよかったです。
『メタル・マクベス』劇団☆新感線
DVDで鑑賞。
疲れてるのもあって200分オーバーの芝居をテレビ画面で見るのは辛い…。正直後半は集中力飛んでた。
松たか子さんの演技力はすごいなーと改めて思う。ぶっとんだ演技もしっとりした演技もうまい。ここぞというところでどアップにしてくれるカメラさんも見事。クライマックスでの涙は舞台だと中々見れないよなー。あと、ラストの狂気の笑顔も見事。素晴らしい役者さんです。
マクダフって今まで見た他の公演だとそこまで魅力を感じなかったのだけど、やっぱりマクベスにトドメをさす大事な役だよね。北村有起哉さんがめっちゃかっこよかった。これからはもうちょっと注目して見ます。今までごめんなさい。
森山未來が演技、ダンスともにうまい。ダンカンの息子もそんなに着目してたキャラじゃないので、意外でした。
やっぱ役者の力は偉大だなー。
話はマクベスを未来の話に変え、さらに80年代のメタルバンドの話に絡めて、大量破壊兵器まで出してドンチャンする感じだったのだけど、正直何がしたかったのだろう…?という感じも拭いきれず……。
バンドの話が未来のマクベス(ランダムスター)の夢とリンクして狂気を演出するのは面白いっちゃ面白いんだけど、なんかやたら長くなって疲れた……。マクベス夫人に名前をつけてラスト呼ばせるくらいしか効果なかったのでは?結局ゲリラライブってどうなったの?って感じだし。もう一回見たら感想変わるのだろうけど、長すぎるので次見る時があるのかどうか…。
『羊と鋼の森』宮下奈都
高校時代、たまたま学校のピアノの調律に立ち会ったことで、調律師になることを決めた青年の物語。
淡白な主人公がもがき迷いながらも理想の音を模索する姿勢にとても好感が持てる。主人公の周りのキャラクターたちもいい人たちでとてもよい。欲張るともっともっと双子や柳さん、秋野さんのことが知りたい!続編かかれないかな?
文体が非常に凝っていて、音というとても表現しにくいものを言葉を尽くし、様々な比喩で美しく表現する筆力は素晴らしい。
主人公や和音がこれからどうなっていくのか、ぜひ知りたいので、本当に続編が読みたい。
『エンバーミング』和月伸宏
エンバーミング読了。
面白いのになぜか乗り切れないのはなぜだろうと考えてみたところ、主人公3人の目的にほぼ共感ができないところだろうと思う。
復讐のためにフランケンシュタインを全て壊す。
フランケンシュタインになった少女を人間に戻す。
フランケンシュタインの花嫁を探す。
そういうのよりは、自分が成長するためとか、仲間を守るためとかのほうがやっぱり好き。
だから、リッパー=ホッパー編とかは好き。
そして、群像劇なのも相性が悪かった。
一人一人の目的に没入できないまま他のキャラクターのドラマが掘り下げられるから、誰にも深く思い入れを持たないままラストまでいってしまった感じ。
あと、和月先生の捻ったセリフ回しがちょっとくどく感じてしまう。なんでだろ?個人的には好きな類のはずなのに……。
やたら説明くさいセリフや場面が多いのもあまり好きになれないかな。
かっこいいシーンはかっこいいので、次回作に期待。
ダークな作品で、しかも主人公3人の群像劇だったことが両方あまりピンとこなかったかなー。終わってみればよく締めくくった話なんだけど。
「ダリ展」国立新美術館
ダリ展行ってきた。有名な夢の中みたいな絵以外にもいろんな作品書いてるのねこの人。
不可思議な空間に吸い込まれるような絵は見ていて気持ちがいい。
映像作品も多いので、時間はめっちゃかかる。
「アンダルシアの犬」はただ意味不明で…。謎の映像が流されていく。
「白い恐怖」は、ああダリの絵っぽいなぁって感じ。
「ディスティーノ」はダリとディズニーのコラボって感じで不思議な世界観が美しく表されていて、きれい。一番見やすかった。
もう少し体力があって体調がいいときにいけばよかった……。
以下、メモ
巻髪の少女
牧歌的で健康的なのに、エロティック
ドン・キホーテ
ダイナミックかつシンプルな風車と、ドン・キホーテの頭が爆発している絵が好き。
オフィーリア
宝飾品。きれいなんだけど、欠けている。広がる髪に狂気を感じる。